ベルリン芸術大学の評判と現実!入試倍率や家賃・財政難の裏側
ベルリン芸術大学、通称UdK(ウー・デー・カー)!
ドイツで音大を目指すなら誰もが一度は憧れる場所なのかもしれません。
ドイツで人気ナンバーワン!
その華やかなイメージのベルリン芸術大学ですが、今日はその人気の裏側を少し深掘りしてみましょう。
目次
ドイツ人気No.1!ベルリン芸術大学(UdK)の華やかな表の顔

UdK Berlin Fasanenstr.
ベルリンが首都になってから、その人気は右肩上がり。
メトロポールとしての魅力に、世界中の若者が引き寄せられて、入試の倍率は毎年とんでもないことになっていると聞きます。
元東ベルリンの ハンス・アイスラー音大や、ミュンヘン音大と並んで、ドイツ屈指の超難関校ですね。
ここで注意しないといけないのは、
「入試に合格するのが難しい 、つまり倍率がドイツで1番高い = レベルが1番高い」では決してない!
という事ですが。
それは、置いといて、東西統一以降のベルリンは、常に財政難と言われてきましたが、UdKの学生たちはみんな活気があって、自由で明るい雰囲気が漂っています。
この芸術大学はとにかく巨大です。
大きく分けて、4つの全く方向性の違う学部が存在しますね。
1. 造形芸術学部 (Fakultät Bildende Kunst)
絵画、彫刻、メディア・アートなど 純粋芸術(Fine Arts)を扱う学部です。
- 絵画
- 彫刻
- ニューメディア
- 芸術教育(教職)
2. デザイン学部 (Fakultät Gestaltung)
実用的なデザインやコミュニケーションを扱うデザイン学部。
UdKで最も学生数が多いマンモス学部なのだそうです。
- 建築
- プロダクトデザイン
- ファッションデザイン
- 視覚伝達(ビジュアル・コミュニケーション)
- 社会経済コミュニケーション (GWK)
- アートとメディア
3. 音楽学部 (Fakultät Musik)
ソロの演奏科から小学校の教員養成課程まで幅広く網羅しています。
- 器楽演奏
- 指揮
- 作曲
- 教会音楽
- サウンド・エンジニアリング
- 音楽(器楽・声楽)教育
- 教員養成課程(小学校、中学&高校等)
- 音楽学
4. 舞台芸術学部 (Fakultät Darstellende Kunst)
舞台にまつわるあらゆる表現をカバーしていて、非常に高い倍率で知られる学部です。
オペラ歌手を目指す学生は、音楽学部ではなく、こちらに属します。
- 声楽・オペラ
- 演劇(俳優)
- ミュージカル
- 舞台デザイン
- 脚本
- 演劇教育
ピアノ椅子も買えない!?名門を襲う深刻すぎる財政難の実態

UdK Berlin Hardenberg Str.
でも、今のUdKを取り巻お金事情は、正直言って かなり
「ヤバい」
レベルです。
大学の財政がひっ迫しすぎて、現場は悲鳴をあげています。
お金がない影響は目に見える形で現れているんです。
先日、知り合いの演奏を聴きに 大学のコンサートへ行った時のこと:
ステージを見て驚きました!
学生がピアノを弾く時に 座っていたのはなんと、観客が座る「普通の客席用の椅子」
だからピアノを弾く学生は、椅子の高さすら調節できません。
そのコンサートをオーガナイズした先生は
「室内楽ホールのピアノ椅子が 壊れちゃったのよ。でも新しいものをすぐに一脚買う予算がないらしいよ。」
と、説明していました。
「これは、ちょっとヤバすぎじゃない?」
とさすがの私も思ってしまいました。
ドイツで1番人気の留学先、天下のUdKのステージの上で、そんな光景を 目にすることになるとは...
私は、東西が統一されたばかりのもっと貧乏だったベルリンを知っています。
今では華やかな高級住宅街に変容した、プレンツラウアーベルク(Prenzlauerberg)や、ミテ(Mitte)などには、壁がボロボロの家しかありませんでした。
だから、そんじょそこらのことでは、もうびっくりしなくなってます。
昔は、ベルリン州のお金がなくて、水道代m節約のために、真夏に、公共プールが閉鎖になり、公園の噴水の水も止まりました。
でも、あれから何十年も経って、今は公共プールは普通にやってるし、公園の噴水も元気に水を放出しています。
なのに、UdKには、いまだにお金が潤ってないのですね...
東西統一から何十年も経ったのに、
今だに、そこまで困窮しているのかとゾッとしました。
客員教授が次々去っていった?「首都ブランド」に隠された教育の危機

Cafe Hardenberg
さらに深刻なのが 教育の質の根幹に関わる
「人材の流出」
です。
実は今年度のUdKでは、客員教授の全員に対して、
「契約更新ができません」
という衝撃の通達が出されたのだそうです。
私の優秀な友人も、大学側からこう言われたそうです。

あなたには残ってほしいけれど、客員教授に払う給料が予算から捻出できないんです。
だから、前のような普通の講師としての安い時給で働いてくれませんか?
これには友人も絶句でした。
しばらく落ち込んでました。
そもそも、ベルリン州はお金がないので、
「国立大学の講師の時給は、州立音楽学校の講師よりも低い」
という、大学の講師にとっては屈辱的な事実があります。
信じられないでしょ?
私も最初聞いた時は
「いやいや、絶対そんなことないでしょ!」
と思いましたから。
結局その友人はベルリン芸術大学での仕事を減らし、他の音大に応募しました。
そして
「来年はUdK辞めるかもなー」
と漏らしています。
そりゃあそうですよね。
せっかく、10年くらいコツコツと頑張って、やっと客員教授の座を手に入れたのに、また前の安い時給に戻ってしまうのですから。
今のUdKの人気というのは
「ドイツの首都にあるから」
というブランド価値だけで過剰評価されている気がします。
もちろん昔からの名教授は今でも在籍しています。
でも、その先生たちが退官していなくなった後、この大学どうなるの?
関係者の間では、そんな恐怖に近い不安が 広がっているのが現実です。
家賃は10年前の2倍!合格後に待ち受けるベルリン家探しの地獄
さらに学生に降りかかってくるのは、入試の難易度だけではありません。
ベルリンの深刻な住宅難です。
もし運よくベルリン芸大に合格したとしても、住む場所が見つからないんです。
ほんと、最悪です。
今のベルリンの家探しは 10年前の数倍は困難です。
家賃も場所によっては 10年前の2倍に跳ね上がっています。
(東西統一前から比べたら、10倍くらいに跳ね上がってるかもしれませんが、それは置いといて。)
音楽留学生にとって、今のベルリンで生活するのは、決して楽じゃないです。
憧れだけで選ぶのは危険?失敗しないドイツ音大選びの極意
私のところにも
「ベルリンの音大に入りたい」
という相談はよく来ます。
理由を聞いてみると
「都会だから」
「首都で充実してそうだから」
という答えが大半です。
でも、私は基本的に、ベルリンの音大は勧めません。
もし強力なコネがあって、教授からクラスに入れると確約をもらっているなら別ですが。
そうでなければ わざわざここを選ぶ必要は、ないのではと思います。
でも、試したい人は試してください。
もし合格できたら、難関音大なのでそれなりに達成感はあるのでは。
それに、ベルリンの街は、人種のサラダボウルで、刺激がたくさんあって、若い人には楽しいと思います。
(住むところが見付かればの話ですが。現実を知っているのでついネガティブになっててすみません。)
とにかく、本当に自分にとって最高の学び場がどこなのかを、よく問いかけるのも、それはそれで大事なのでは、と思います。
イメージや知名度だけでなく、今のリアルな現状を見て、進路は冷静に決めるのが、きっといいのでしょう。
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