ドイツの州立音楽学校の入試準備コースにアジア人が殺到しない理由

引用元: potsdam.de

ドイツの音大、音楽院、音楽学校の構図

ドイツで音楽を学ぼうとすると
名前が似たような機関がたくさんあって
最初は混乱するかもしれません

まずはそれぞれの立ち位置を
すっきり整理しておきましょう

a ドイツの音楽院の立ち位置

ドイツ語で「Akademie」や
「Konservatorium」と呼ばれる音楽院は
国立の音楽大学とは別の私立機関が多いです

プロの音楽家を目指す人のための学校で
音大と同じような学位が出るところもあります

b ドイツの音楽学校の立ち位置

「Musikschule」と呼ばれる音楽学校は
基本的には地域住民のための教育機関です

子供から大人までが趣味で通う場所ですが
実は音大を目指す人のための
本格的な専門コースも用意されています

一番人気は国立音大、数が多いし無料のところが多い

留学生がまず第一に目指すのは
やはり国公立の音楽大学
(Musikhochschule)です

ドイツ全土に20以上もの数があり
何より学費が原則無料か
あっても学期ごとに1500ユーロ程度です

世界最高峰の教授陣から
お金をほとんどかけずに学べるため
ここは常に世界中の天才たちの
激戦区になります

侮れない私立の音楽院。学士、修士の取得も可

国立音大の倍率があまりにも高いため
選択肢に入ってくるのが私立の音楽院です

私立とはいえ国から認定されていれば
大学卒業資格(学士)や修士号を
きちんと取得できる学校もあります

学費は年間で数千ユーロほどかかりますが
国立に比べると入試の門戸が広く
ここで腕を磨く留学生もたくさんいます

本当はめちゃくちゃレベルが高く安い音楽学校の音楽大学入試準備コース

実はドイツの州立音楽学校には
「SVA(Studienvorbereitende Ausbildung)」 という音大受験準備コースがあります

これが驚くほど充実したシステムで
実技レッスンだけでなく
副科ピアノや音楽理論、聴音まで
すべてパッケージになっています

費用はなんと月80ユーロ前後という破格の安さ

教える先生方もプロばかりで
地域の国立音大との繋がりもあるので
内容もレベルも本当に高い
素晴らしい環境です

音楽学校の音楽大学入試準備コースにアジア人が殺到しない理由4つ

これほど好条件のSVAなのに
なぜアジアからの留学生で
溢れかえらないのか
それには4つの現実的な理由があります

1. 「学生ビザ」が発行されるかどうか

これが一番大きな問題です

ドイツで留学ビザをもらうには
週に何時間以上の授業があるという
フルタイムの証明が必要になります

SVAは週に数時間のレッスンなので
これ単体では新規のビザが下りない
ケースがほとんどです

私立の音楽院はビザが出る学校として
国から認可されているため
ビザ目的で私立を選ばざるを得ないのです

一応言っておきますが、
裏技としては、語学学校に通って
そこで語学学生ビザを出してもらう
という方法はあります。

2. そもそも情報が届いていない

アジアからの受験生の多くは
留学エージェントを頼ってやってきます

ビジネスの仕組み上、エージェントは
提携している私立の音楽院を
どうしても紹介しがちになります

また、地元の音楽学校のSVAは
サイトがドイツ語のみで地域密着型なため
海外からの情報網には引っかかりにくいです

3. 入試の時点で「ドイツ語」の壁がある

州立音楽学校のSVAのオーディションでは
先生との意思疎通や理論の授業のために
最初から最低限のドイツ語力が求められます

対してアジア人向けの私立音楽院は
ドイツ語ゼロでも受け入れてくれて
校内で語学講座をセットにしてくれたりします

言葉の不安がある人には私立の方が
ハードルが低く見えるわけです

4. 年齢制限に引っかかるケースも

SVAはもともと 地元の
「青少年の才能育成」が目的です

そのため自治体によっては
20歳前後などの年齢制限が
厳しく設けられていることがあります

日本の大学を卒業してから渡独するような
20代中盤の受験生にとっては
そもそも応募資格すらないこともあるのです