フォルクヴァング芸術大学・エッセン!日本人少なめの穴場音大なのはなぜ?
ドイツへの音楽留学を考えた際に、
まず、日本人がとても多く住んでいる
デュッセルドルフやケルンを
視野に入れる人、きっと多いでしょう。
「デトモルドもよく聞くな」
と思う人もいるかもしれません。
同じノルトライン=ヴェストファーレン州
の音楽大学なのに、
フォルクヴァング芸術大学・エッセン
(Folkwang Universität der Künste)
に入りたいという学生あまり聞きません。
そこで今回は、現地では
他の音大と同じレベルを誇るこの大学が
なぜ日本人にとって、あまり魅力がないのか
その理由を探っていこうと思います。
目次
フォルクヴァング芸術大学ってどんな学校?(基本情報・キャンパス)

まず、そもそもフォルクヴァング芸術大学
ってどんな音楽大学なのでしょうか?
フォルクヴァング芸術大学は、
日本人のお馴染みのデュッセルドルフから
北東30kmのところにあります。
ドイツの旧工業地域ルールの
中心都市・エッセンにあります。
他の音楽大学との最大の違いは
音楽・演劇・ダンス・デザイン
写真・学術の5つの領域を
ひとつの大学に集約した
「総合芸術大学」
である点です。
| 項目 | フォルクヴァング芸術大学の概要 |
| 所在地 | ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州エッセン |
| 全校学生数 | 約1,600名(全ジャンル合計) |
| メインキャンパス | エッセン・ヴェルデン校舎(緑豊かな歴史的修道院跡) |
| 特徴的な拠店 | ツォルフェライン校舎(世界遺産の旧炭鉱施設内/デザイン・写真) ボーフム校舎(演劇部門) ドルトムント(オーケストラセンターNRWとの連携) |
主要な音楽学科が置かれている
ヴェルデン校舎は
かつての修道院(Abtei)を利用した
歴史を感じさせる建物です。
「単科音大」との決定的な違い!フォルクヴァングを選ぶ3つのメリット
一般的な「音楽大学(単科音大)」ではなく、あえて「芸術総合大学」であるフォルクヴァングを選ぶことには、他校では絶対に得られない大きなメリットがあります。
1. 異分野(ダンス・演劇・デザイン)とのコラボレーションができる
フォルクヴァング最大の強みは、日常的に他の芸術分野と接点を持てることです。
- 音楽科の学生が、ダンス科や演劇科の舞台公演のための音楽を作曲・演奏する
- デザイン科や写真科の学生と一緒にプロモーションやWeb・映像コンテンツを作り上げる
単科音大では「クラシック演奏家同士」のコミュニティに閉じた生活になりがちですが、フォルクヴァングではジャンルを超えた共作を通じて、総合的な表現力やプロデュース能力を養うことができます。
2. 修道院の伝統と世界遺産が同居する刺激的なキャンパス環境
クラシック音楽を学ぶヴェルデン校舎は、重厚な歴史と豊かな緑に包まれた静かな環境です。その一方で、デザイン・写真部門が位置する「ツォルフェライン校舎」は、ユネスコ世界文化遺産に登録されている旧炭鉱産業遺構の中に作られた超モダンな空間です。
古き良き伝統空間で歴史的音響に耳を傾けつつ、車で少し移動すれば世界最先端のインダストリアル・デザインやアートに触れられるという、相反する魅力を同時に楽しむことができます。
3. 世界最高峰の看板分野(室内楽・ダンス・ジャズ・ミュージカル)
クラシック全般に強いケルンやデュッセルドルフに対し、フォルクヴァングには「世界トップクラス」と評される強力な看板分野があります。
- 室内楽(Kammermusik): 名門エベン弦楽四重奏団のメンバーをはじめ、室内楽指導においてドイツ屈指の評価を得ている
- コンテンポラリーダンス: 世界的なダンサーが集まる屈指のレベルで、演奏家にとっても身体表現やリズム感を学ぶ最高の刺激になる
- ジャズ・ミュージカル: ドイツ国内で最も歴史と実績のあるコースのひとつで、現場に直結した実践的カリキュラムが魅力
なぜ日本人に人気が控えめなのか?(知っておくべき4つの理由)
これほど魅力的な環境が整っているにもかかわらず、なぜ日本の音楽留学生の間ではケルンやデトモルドほど名前が上がらないのでしょうか?そこには、知っておくべき4つの理由があります。
① 「単科音大」ではなく「芸術大学」という名称の認知度不足
日本の音楽界では「○○音楽大学(Musikhochschule)」という名称の学校に情報や受験生が集中する傾向があります。「Folkwang Universität der Künste(フォルクヴァング芸術大学)」という名称から「音大」だと即座にイメージしにくく、初期の留学先リストから外れてしまいがちです。
② 先輩や恩師など「日本人ネットワーク」の連鎖が少なめ
ドイツ留学では「日本の恩師の紹介」や「先輩が多く通っているから」という理由で受験校を決めるケースが多々あります。ケルンやデトモルド、デュッセルドルフは過去に多くの日本人演奏家が留学し、日本の音大で教えている卒業生も豊富です。一方でフォルクヴァングは特定分野を除くと、クラシック器楽ソロ系での日本人ネットワークの連鎖が他校より控えめです。
③ エッセンという街に対する「旧・工業都市」のイメージ
観光都市として華やかなケルンや、日本人が多く住むデュッセルドルフ、歴史的で美しい小都市デトモルドに比べると、エッセン(ルール地方)は「旧炭鉱都市・工業都市」という実用的なイメージが先行します。そのため、渡航先の街並みに憧れを持つ層から第一志望に選ばれにくいという側面があります。
④ 演奏技術以外の「総合芸術アプローチ」が目立つ
「ひたすらバイオリンやピアノのソロ技術を磨きたい」という受験生からすると、他ジャンルとの協働や現代アート的な試みを重視するフォルクヴァングの雰囲気が、自分の目的と少しズレているように見えてしまうことがあります。
春入学(夏学期)はできる?(出願アドバイス)
ドイツの音大は10月スタートの「冬学期」が入学のメインですが、フォルクヴァング芸術大学でも4月スタートの「夏学期(春入学)」の募集が行われることがあります。
出願のポイントと注意点
- 出願締め切り: 例年11月15日頃(夏学期出願)
- 対象コース: 大学院(Master of Music)、ジャズ系、一部の器楽・声楽専攻など
ただし、主科教授のクラスの空き状況によって「今年の夏学期はマスター(大学院)のみ募集」「この楽器は夏学期の募集なし」といった変動が毎年発生します。
フォルクヴァングを受験候補に入れる場合は、前年の夏〜秋にかけて大学公式サイトや音楽留学ポータル(muvac等)で、自分の専攻が夏学期募集を行っているかを必ず個別に確認しましょう。
他の春入学できる音大はこちら⇩
まとめ:「他ジャンルの刺激を受けたい」「日本人の少ない環境で学びたい」人には最高の選択肢!
フォルクヴァング芸術大学は、日本人の留学生数が比較的少ないからこそ、次のような人にとって最高の「穴場音大」となります。
- 日本人が多すぎる環境を避け、現地の学生や他国の留学生とドイツ語でどっぷり交流したい人
- 音楽だけに閉じこもらず、ダンスや演劇、現代アートから新しい表現のヒントを得たい人
- 室内楽やジャズ、ミュージカルなど、特定の得意分野で質の高い指導を受けたい人
「みんなが行くから」という理由で有名な音大を選ぶのもひとつの道ですが、自分の学びたいスタイルに寄り添ってくれる隠れた名門校を選ぶことで、より濃密で唯一無二の留学生活を送ることができます。
ドイツ音楽留学を検討中の方は、ぜひフォルクヴァング芸術大学も選択肢に加えてみてくださいね!

