こんにちは。
兵庫県姫路市の県立高校の卒業式で、コーンロウというアフリカ発祥の髪型で登校した3年の男子生徒が、髪形が「清潔と言えず」に他の生徒から隔離された問題が炎上しました。
その男子生徒と同じように、日本人と黒人のハーフの檀廬影(だん いえかげ)さんが文春オンライン上で切実な思いを訴えて、注目されました。
コーンロウとは
引用元: yahoo.co.jp
コーンロウ(cornrow)とは、アフリカにルーツを持つ、細い編み込みを何十列も作る髪型で、仕上がりがトウモロコシ(コーン)のように見えることから、こう呼ばれるのだそうです。
映画『地獄の花園』で、ヤンキーOL「悪魔の朱里」役を演じた菜々緒さんの髪型も、コーンロウでした。
引用元: moviewalker.jp
日本ではそう頻繁に見かける髪型ではないので、「奇抜」とか「ヤンキーっぽい」という印象を抱く人も多いのかもしれません。
コーンロウは清潔と言えないのか
引用元: book.asahi.com
シャンプーをするときは、編み込みが崩れないようにそっとやらないといけないし、一度シャンプーをすると、形が少し崩れるので、毎日髪を洗いたい人には、実用的な髪型ではないでしょう。
実際、ドイツでコーンロウの髪型の人に話を聞くと、1週間に一回くらいしかシャンプーしない人が結構います。
でも、日本人から見れば、信じられない話かもしれませんが、欧米人で毎日シャンプーする人は、そもそもすごく珍しく、逆に、とてもファッショナブルな若い女性でも、
「シャンプーは1週間に一回」
という人がザラにいるので、コーンロウの髪型の人が、1週間に一回くらいしかシャンプーしなくても、それはヨーロッパでは、「珍しい」とか「不潔」という表現には当てはまりません。
実際、黒髪のアジア人が3日くらいシャンプーをしないと、髪がベタベタして、フケもちらほら見えてくるので、洗ってないことが一目瞭然ですが、なぜか金髪や茶髪の人の場合は、
「もう1週間シャンプーしてないよ」
と自己申告されない限り、気付きません。
逆に、皮膚科の医師が普通に
「毎日のシャンプーは髪にも頭皮にも良くない」
と言ってくるので、
「シャンプーは頻繁にしない方が健康的」
という考えが広まっています。
シャワーの頻度についても、同じような考えが広まっていて、Time誌のコラムによりますと
厳密な衛生上の理由からすると、ライフスタイルにもよりますが週1、2回ほどのシャワーでも十分
引用元: You Asked: How Often Should I Shower?
https://time.com/
だそうです。
県立高校卒業式でのコーンロウ拒否
引用元: mainichi.jp
兵庫県姫路市の県立高校の卒業式で、コーンロウというアフリカ発祥の髪型で登校した3年生の男子生徒が、髪形を理由に他の生徒から隔離されて問題になりました。
学校側は校則違反として、コーンロウの髪型の男子生徒を、体育館の2階席に座らせ、名前を呼ばれても発言しないようにと、伝えたのだそうです。
その男子生徒は、
「だったら、もうここにいても意味がない」
と思い帰宅したのだそうです。
アフリカ系アメリカ人の父親を持つ男子生徒は、
自らのルーツを踏まえた髪型で“ハレの日”に臨もうとした
引用元: yahoo.co.jp
のだそうです。
欧米でのコーンロウの受け入れ方は?
引用元: toyokeizai.net
ヨーロッパでは、どの国でも黒人や、黒人とのハーフの人たちが他の民族の人たちと同じように、周りにたくさんいます。
保育園や小学校の時から、アジア系、アフリカ系、モスレム系などさまざまな国にルーツを持つ子供達が、一緒に遊んだり、学んだり、時を共に過ごしながら、大きくなっていきます。
日本人の黒髪と違って、アフリカ系の人の黒髪は、チリチリの癖毛の人が多いですよね。
それほど長髪でなくとも、縮毛の場合はとにかく広がってしまいます。縮毛の人の中には、そのボワーっと広がる髪の毛をどうにかまとめたいという理由で、コーンロウにする人も結構います。
もうその場合は「おしゃれ」というよりも、どちらかという
「このボワーっと広がる縮毛をなんとかまとめたい」
という欲求から、コーンロウに「落ち着く」という感じです。
だから、欧米ではコーンロウは
「受け入れる、受け入れない、以前の話」
で、欧米人にとっては、日本国内でコーンロウがそこまで話題になる、ましてや「問題になる」こと自体が、不思議です。
檀廬影(だん いえかげ)さんについて
引用元: book.asahi.com
プロフィール
平成元年、横浜生まれ。
日本人と黒人のハーフ。
二十歳よりDyyPRIDE名義でラップを始める。
2011年 音楽レーベルSUMMITより1stソロアルバム「In The Dyyp Shadow」
グループSIMI LAB 1stアルバム 「Page 1 : ANATOMY OF INSANE」
2013年 2ndソロアルバム「Ride So Dyyp」
2014年2ndグループアルバム「Page 2 : Mind Over Matter」をリリース
2017年にSIMI LABを脱退
2019年に著書『僕という容れ物』を立東舎から出版
引用元: book.asahi.com
檀廬影さんの切実な訴え
引用元: bunshun.jp
上の写真は、お母さんと一緒に写っている幼少期の檀廬影さんです。檀廬影さんは、日本人と黒人のハーフなので他の人と見た目が違ったため、幼少の頃から色々な差別に耐えてこなければいけなかったのだそうです。
檀廬影さんが高校生の時に、学校の教室で突然、教師から自分のアフロヘアのことを指摘され
「すごい髪型って言われても、地毛を伸ばしただけですけど」
と答えると
「いいから髪を切ってこい」
と、すごい剣幕でその教師から怒られたのだそうです。そこで、檀廬影さんが
「どうして俺より髪が長い奴も染めてる奴もいるのに俺にだけ言うんだよ?」
と反発すると、顔を真っ赤にして激高した教師に
「お前の髪型は面積を取り過ぎているし何よりも清潔感がない!」
と言われ、そのあとは、お互い胸ぐらを掴み合い、怒鳴り合いの大喧嘩になったのだそうです。
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文春オンラインへの投稿記事でこのように訴えています。
今思えば高校時代の私にとってアフロヘアでいる事は、幼少期より続くアイデンティティクライシスからなんとか立ち直る為の最後の砦にて籠城するような、唯一残された反逆的手段であったようだ。
実際に幼少期にアイデンティティクライシスを経験してからというもの、数十年間に渡り得体の知れない死人の肉体をまとって生きている様で、激しい恐怖と絶望と希死念慮に襲われ自ら命を絶たずに今こうして記事を書いている事が不思議なほどである。
引用元: bunshun.jp
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もちろんヨーロッパには、人種のるつぼならではの問題点もたくさんあります。ですが、小さい子供が、物心つく頃から、ずっと小さな差別と大きな差別に苦しみ続けないといけない日本の社会って、やっぱり辛いです。
著名&芸能人の炎上発言の意義
今回の、卒業式での「コーンロウ拒否」の問題に対し、まず、作家の乙武洋匡さんが
異文化の伝統に敬意を払うことなく、問答無用に排除する。
そんな教育を受けて社会に巣立っていく子どもたちが不憫でなりません。
引用元: twitter.com
とツイートし、脳科学者の茂木健一郎さんは
クソみたいな教師たち、最低の学校。
恥を知れ。
生徒がかわいそう。隔離された子も、そのほかのすべての子も。引用元: twitter.com
とツイートし、賛否両論でかなり炎上し、千原せいじさんはインスタに
もういやや。アホな教師撲滅しましょう。これただの差別やで。そんなん気付かへんのん教師としてやばいで
引用元: instagram.com
と投稿し、ほとんど批判ばかりで大炎上しました。
上の三人の主張が、正しいかどうか、そして共感できるかどうかは、置いておきましょう。詳しい事情や、当事者の言い分なども、全て出ているわけではないので、正確な事実確認は難しいです。
ですが、著名人が炎上発言をすることによって、確実に問題が、問題として広まっていくので、檀廬影さんのような当事者の記事も、読まれるチャンスが増えるわけです。
そう考えると、有名人の炎上発言も、ある意味「意義がある」のかもしれません。
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あとがき
ヨーロッパでの生活が長くなると、「生徒に服装や髪型や持ち物の指導を行う」という日本の学校のシステム自体がとても不思議に思えます。
というのは、こちらの公立の学校には、いわゆる「校則」などというものは、私の知る限り存在しません。
でも、ヨーロッパのように、持ち物や服装が自由の学校にずっと通い続けた若者の中には、日本の制服に憧れたり、
「服装をいちいち考えなくて良いから楽で良いなー。制服着てみたいなー」
と思う子供たちの声があることも事実です。日本に数年前に交換留学した知り合いの女子高校生は、
「私の制服姿!かわいいでしょ?」
と制服を着て喜んでいる画像を送ってきました。
これを6年間やり続けないといけなかったら、気持ちも変わってくるだろうなー
と私は、ちょっと思ってしまいました。