こんにちは。
元ジャニーズJrの岡本カウアンさんが、2023年4月12日に日本外国特派員協会で記者会見し、旧ジャニーズ事務所に所属していた2012年から2016年の間に、ジャニー喜多川氏から15~20回ほど性的被害を受けたと証言しました。
それを受け、旧ジャニーズはついに何十年にもわたって行われてきたジャニー喜多川氏の性加害を認め、2024年2月現在、200人以上の被害者に補償金の支払いを終えました。
ここ20年余り、世界に多くの激震を与えてきたカトリック教会の聖職者による性的虐待事件と旧ジャニーズでの長年にわたる性被害には、いろいろ似ているところがあります。
ジャニーズでの性被害
引用元: twitter.com
さかのぼること60年。ジャニー喜多川氏のセクハラ問題は、その頃から時折報じられていたのだそうです。
1988年になって、元フォーリーブスの北公次さんが著書
「光GENJIへ―元フォーリーブス北公次の禁断の半生記」
で、ジャニー喜多川氏から性的虐待を受けていたことを暴露し、
1988年に、元ジャニーズの中谷良さんも
「ジャニーズの逆襲」
という本を出して、同じく、ジャニー喜多川氏から性的いたずらをされていたことを明かしています。
そして、2002年に週刊文春は、10代の頃に性的虐待を受けた元ジャニーズだった男性10人以上の生々しい性的被害の実態を、次々と掲載しました。最年少被害者は、なんと12歳でした。
翌年にジャニー喜多川氏と「旧ジャニーズ事務所」は、「週刊文春」を名誉毀損で訴えましたが、4年にわたる審議の末、元ジャニーズ男性らの性被害の証言には信ぴょう性があると認定され、ジャニー喜多川氏の控訴は棄却されました。
この時、裁判 で初めてジャニー喜多川氏の性的虐待の有無が認められたにもかかわらず、ジャニー氏は起訴されず、日本のメディアの多くもジャニーさんに忖度してなのか、その記事を扱わず、結局その問題は闇に葬られたままでした。
2017年の刑法改正までは、日本社会の中に、
「男性が男性から性的虐待を受ける」
という可能性そのものを「想像できない」空気があったため、ジャニー氏の性的虐待も
「あのおじいさんが、若い男の子に取っ替え引っ替え手を出すの? ないない!」
と実際に信じにくいと感じた人は多かったと思います。
というのは、日本では2017年6月に改正刑法がやっと成立して、それからやっと、男性や少年が法律上、強姦の被害者として認められるようになったのです。
なんと、刑法の大幅な改正は、明治40年以来、110年ぶりのことだったとか!
というわけで、2002年の週刊文春の一連の記事は、大スキャンダルにならなかったのです。
岡本カウアンの勇気ある告発
引用元: AFPBB News
さて、文春の暴露記事からまた20年が過ぎ、ジャニー氏も2019年にお亡くなりになり、2023年の3月に、イギリスのBBCが
ドキュメンタリー番組『J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル』
を放送し、その中で3人の元ジャニーズの男性が赤裸々に性被害を明かしています。
そして、他にも複数の証言が出てくる中、とうとう実名顔出しで、被害を冷静に、淡々と明かそうと決心した人物が現れました。
元ジャニーズJr.でアーティストの岡本カウアンさんです。
岡本カウアンさんは、4月12日に行われた日本外国特派員協会での記者会見で、
と証言しました。
そして被害者の数について岡本さんは
自分が確認したのは3人、ただ(ジャニー氏の)マンションに通っていた4年間のあいだは、全員(が被害者)の可能性があり、それならば100~200人
引用元: https://www.youtube.com/watch?v=97646Oi0YFw
と証言しました。
この記者会見を見る限り、岡本カウアンさんは詳細まで語っていて、関係者の中から彼の証言に真っ向から反論する人も今のところ出てきませんでshtあ。
もちろん、どんな事件の被害者でも、被害を受けた当事者であるからこそ、実態を客観的に見られない部分が、多かれ少なかれはあるでしょう。
でも、岡本カウアンさんの証言の信憑性は、旧ジャニーズ事務氏からも認められました。
岡本カウアンさんは文春のインタビューで、何かあった時のために証拠にビデオも撮っておいたと、語っています。(そんなキモいビデオ、できれば誰にも見せたくないでしょうが…)
ですから、ネットにあふれる
「岡本カウアンは嘘つき」
とか
「岡本カウアンが売名行為」
という書き込みは、ただの誹謗中傷でした。
彼はれっきとした性被害者だったのです。
この会見後の芸能界の反応についてはこちらをどうぞ⇓
カトリック教会の聖職者による性的虐待
引用元: seisen kyodan
カトリック教会の聖職者による性的虐待問題は、特に欧米で、大スキャンダルとなり、一時期世間を騒がせていました。
1991年には、アメリカ・ボストンのジョン・ゲーガン神父が30年間にわたって、130人もの未成年者に性的虐待を行ったとして起訴されました。
その後、ゲーガン神父は聖職停止に追い込まれ、懲役9から10年の実刑判決を受け、牢獄で他の受刑者から暴行を受け、亡くなりました。
また、同じボストンで、ジェイムズ・ポーター神父も1950から60年代に、125人ほどの児童への性的虐待を繰り返したとして、1993年に懲役18 – 20年の実刑判決を受けました。
その他にも多くの例があり、例えば、バーモント州のバーリントンの神父による性的虐待被害者に対して、教会が2000万ドル以上の慰謝料を支払うことに合意するなど、損害賠償の事例が次々と確定していきました。
引用元: catholic-sumoto
ドイツでは、スキャンダルが明るみに出てから、第三者委員会による抜本的な調査が行われ、
1946から2014年にかけて、なんと3677人もの未成年者が1670人ものカトリック教会の神父から性的虐待を受けていた
ことが、明らかになりました。
それを重く受け止めたドイツ・カトリック教会は、2021年に1565件もの損害賠償請求を受け入れ、
2021年の1年間で、そのうちの616件の和解が成立し、総額、約13億円(940万ユーロ)損害賠償が支払われた
のだそうです。
似すぎる性加害の深い闇
bunshun.jp
この旧ジャニーズの性被害の歴史とカトリック教会のそれとは、似ている側面がたくさんあります。
被害者は社会的弱者の未成年
性的虐待に及んだカトリック教会の神父は、その教会の中では、絶対的な権力者です。
それに反して、被害者の少年たちは、下のTBSのドキュメンタリー番組内の日本人の被害者たちの証言通り、年齢的にも、体力的にも、精神的にも、全く抵抗できない、弱者なのです。
親が離婚して、カトリック系の児童養護施設に預けられ、いじめられたりする悩みを神父に打ち明けに行って、そこで突然隣の部屋に連れていかれて、服を脱がされ性被害を受けた…
被害者の証言より抜粋
この上のTBSのドキュメンタリー番組で証言されている通り、加害者の神父は自分の地位を利用して、わいせつ目的で相手を手なずける、懐柔行為「グルーミング」をし続けたのだそうです。
旧ジャニーズの件もそういう意味では似ていますね。
被害者はやはり未成年で、加害者は日本の芸能界、Jポップの世界に最強の実力者として長く君臨したジャニー喜多川氏。
被害者の多くは今でもジャニーさんを
「好きです」
「尊敬しています」
と語っていて、ここでも、まさに、自分の地位を利用してわいせつ目的で相手を手なずける、懐柔行為
「グルーミング」
が起こっていたようです。
何年も何十年も誰にも言えない
カトリック教会の聖職者から性被害を受けた少年たちのほとんどは、何十年も、その被害を誰にも打ち明けられずにいました。
旧ジャニーズの場合も、今まで、誰かが告発しても、結局、うやむやに、闇に葬られていました。
やっと勇気を出して被害を訴えても認めてもらえない
引用元: sankei.com
カトリック教会の聖職者から性被害を受けた少年たちの中には、当時、勇気を出してその被害を打ち明けた少年たちも少なからずいました。
けれど、家族に打ち明けても、取り合ってもらえなかったり信じてもらえなかったりするケースは多かったのだそうです。
また、教会関係者に被害を打ち明けると、
「逃げなかったのだから合意があったってことでしょ」
というような、冷たい言葉を投げかけられることも多かったそうです。
ドイツのカトリック教会の例でもわかるように、一人一人のケースが調査され、被害相当額の損害賠償が支払われるようになるまでには、何十年もかかります。
旧ジャニーズが支払った性被害への賠償額についてはこちらをどうぞ⇓
日本の社会では、若い青年が性的被害を訴えると、まず
「売名行為」とか 「嘘つき」
などの誹謗中傷が告発した被害者に寄せられます。
でも、告発する人は、そんな、思い出したくない、気持ちの悪い、性被害の話を、わざわざ「売名」のためにするのでしょうか?
消えないトラウマ
損害賠償で解決されないのは、精神的トラウマです。
カトリック教会の聖職者から性被害を受けた少年たちには、何十年も経ってから、やっと、損害賠償が支払われることになりました。
でも、お金をもらったからって、被害者の心的外傷後ストレス障害(PTSD)がなくなるわけではないですよね。
「性的トラウマ」は消えないのだそうです。
被害者のお一人である、竹中さんの話によりますと、突然、日常の生活の中で
フラッシュバックがやってきて、パニックになり、あとは、もう叫ぶことしかできなくなる
そうです。
元ジャニーズの少年たちの被害が実証されれば、亡きジャニーさんの罪は、実刑判決の出たアメリカの神父たちと同じくらいの重さということになります。
本人がお亡くなりになっているので、「旧ジャニーズ事務所」が補償金の支払いを行なっています。
2024年2月までに約200人に補償金が支払われたのは、せめてもの救いです。
日本の社会では、自分の正当な権利を主張したとしても、根拠のない誹謗中傷がついて回って、帰ってきづつく現状がまだまだあります。
岡本カウアンさんも、一時、恐ろしい量の誹謗中傷を受けていました。
岡本カウアンさんが会見で語った直後から、すでに
「売名行為」
とか
「嘘つき」
のような誹謗中傷がネットにも溢れていました。
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まとめ
もし、心に闇を持っていて、前に進めない人がいたら、まず告発して、
「僕は被害者なんだ」
という事実を自分でも認めることができれば、何かが変わってくるかもしれませんね。