こんにちは。
今田美桜さんが、連続ドラマ「トリリオンゲーム」(2023年、TBS)の第3話で、ド派手なつけ爪とピンヒールでピアノを演奏している姿が放送されて賛否が湧き起こっています。
「素敵!」や「美しい」という賞賛の声と一緒に上がっていたのが「付け爪長ーい邪魔そう」とか「めちゃくちゃ弾きにくそうな爪とヒール。その弾き方は手首に負担をかけるので、やめた方がいい」などという批判的な意見。
というわけで、音楽家の立場からちょっと検証してみました。
今田美桜さんについて
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ドラマ「トリリオンゲーム」について
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今田美桜がピアノを演奏したシーン
引用元: tver.jp
今田美桜さんは、ドラマ「トリリオンゲーム」でドラゴンバンクの社長令嬢で、20代でドラゴンバンク社の取締役をしている黒龍キリカ(桐姫)役を演じています。
黒龍キリカは、才色兼備で高慢ちきな、ドラゴンバンク社の取締役なので、毎回登場するたびに、高額なドレスやスーツに、豪華なジュエリーをジャラジャラつけて、いかにも「ザ・セレブ・コーデ」で登場します。
黒龍キリカ(今田美桜)のコーデにつてはこちらをどうぞ⇓
その黒龍キリカ(今田美桜)が第2話の冒頭5分くらいのところで、白コーデのジャケットを脱ぎ、ハル(天王寺陽)に思いを馳せて窓辺に佇んでいます。
そのあと、白いグランドピアノに座り、ピアノを弾き始めます。
今田美桜の弾き方に賛否
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つけ爪
その今田美桜さんのピアノに座って弾き始める姿は、バッチリ決まっていて、とても美しいのですが、最初の左手の薬指の「シ」音が鳴り響くと同時に、ドラマを一緒に見ていた家族は、
「ぎょえっ!」
と悲鳴をあげました。
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ま、まず、ド派手のつけ爪のせいで、指がピアノを正しい指のタッチで弾ける状態にはないため、指を伸ばし切って、指を思いっきり剃り返しながら弾いているのです。
もうこれはピアノを弾いているとは言えません…
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それだけではなく、つけ爪は超絶長いので、こんな変な弾き方をして気をつけても、鍵盤につけ爪を接触せずにピアノの音を出すのは不可能です。
というわけで、鍵盤に小さい無数の傷がつくことは避けられません。
ピアノという楽器を大事にする人にとっては、それはあってはならない、悲しいことなのです。
超大金持ちの令嬢という設定なので、ピアノもスタインウェイなどの、1千万円ほどするピアノを置くだろうと想像すると、
「うわー、やめてくれー」
という嘆きしか出てきません。
ピンヒール
引用元: Instagram.com
次に今田美桜さんが履いているピンヒール。
ご覧の通り、カカトはかなり高いですよね!
このカカトで右ペダルを踏まなければならないとすると、この下の画像のように、非常に不自然な格好になってしまいます。
これじゃあ、足がつりそうですね。
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正しいピアノの弾き方
手の形、指のタッチ
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たぶん、正しいピアノの弾き方を知っている人は、世の中にたくさんいると思います。
ピアノを弾く場合の手の形としては、上の画像のような感じなら、OKですね。
手の形は鍵盤に手を乗せ、卵を握っている形を作るといいと、言われることが多いです。
鍵盤をタッチする指の部分は、指の腹の先の、爪の生え際近くの部分が正しいとされています。
コンサート用ピアノシューズ
引用元: littlepianist.jp
例えば、ピアニストがコンサートをする時、ピンヒールなんて履きません。
それどころか、ピアニストは、最高のパフォーマンスのために
「ピアノシューズ」を履くぐらいです。
この上と下の画像は「リトルピアニスト」という会社の ピアノのコンサート用ハイヒール、高6cmです。
ヒールの部分は、「ピアノ演奏専用のヒール構造」として、特許を取得した代物です。
引用元: littlepianist.jp
ご覧の通り、ヒールはピンではなく、太めの安定感のある構造で、ペダルを踏んだ時に安定するために、ヒールの角度がペダル使用時にも安定するように切り込まれているため、とてもペダリングがしやすいです。
音楽を左右する『 踏みかえ 』を素早くタイミング良くでき、ペダルの踏む深さをコントロールできるので、『ハーフペダル』『ビブラートペダル』などの音楽を追求するのに必要なペダルテクニックがとてもラクにできます。
引用元: littlepianist.jp
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ちなみに、この会社の「ピアノシューズ」のソールの部分もペダルにパカっとはまる構造になっていて、安定感抜群だし、ペダルの感覚がより足裏に伝わりやすく、柔らかい素材のため、ペダルを包み込む感覚で踏むことができるのだそうです。
とはいえ、どの世界にも例外はあって、中国人のピアニストのユジャ・ワンは、ピンヒールのピアニストとして、有名です。
ユジャ・ワン
引用元:culturemk.exblog.jp
でも、さすがの彼女も、どんなに服装やヒールが派手でも、つけ爪や派手なネイルはしていません。
引用元: newyorker.com
おわりに
ドラマでは大金持ちのセレブという設定の黒龍キリカ(今田美桜)が、正しい奏法を無視した変な格好や変な指のタッチで、鍵盤に傷をつけるような、つけ爪をつけたままのピアノ演奏をするというのは、そりゃあ、ピアノのことを知らない人から見たら、なんの問題もないのかもしれません。
でも、ちょっとピアノのことを知っている人にするとゾワっと「鳥肌が立つ」光景です。
原作の漫画では、黒龍キリカがピアノを弾くシーンはなかったそうなので、わざわざ黒龍キリカ(今田美桜)がピアノを弾くシーンを入れないほうが、よかったかもしれませんね。
もし、どうしても、今田美桜さんがピアノを弾いているシーンを入れたいのならば、せめてあのド派手のつけ爪で反り返った指先が写っているシーンををカットできれば良かったのかもしれません。