こんにちは。
街に熊が出没して、人を襲うケースが多発していて、被害に遭った地域で、熊が殺処分されています。
地方の公的機関が熊を駆除することは、新しいことではありませんが、その熊の殺処分に対して、市や、町の役所に、過剰なクレームが殺到して、職員を悩ませています。
ドイツでは約190年前に最後のクマが殺処分され、それ以来、クマは事実上絶滅しました。
時々アルプスをこえて近隣諸国からクマが出没すると、殺処分になります。
でも、今年イタリアの裁判所は、人間を襲って死に追いやった熊の殺処分を禁止する判決を下しました。その理由はなぜでしょうか。
2023年の熊の被害
引用元: hama-midorinokyokai.or.jp
クマが住宅地や市街地に出没して被害を及ぼす割合は、だんだん増えていて、すでに、2020年度の段階で、全体の37.6%にまで達していました。(引用元: https://www.yomiuri.co.jp)
そして、今年に入って、どんぐりの不作などが影響して、食物を求めるクマの住宅地や市街地への出没は、増しています。
秋までに十分餌を補給できなかったクマは、暖冬となればなおさらのこと「冬眠をしないクマ」になって、冬でも人里に出没してしまうのだそうです。
また、農家の跡継ぎがいないことから農地が放置されていることも、クマが農地に好き勝手に侵入できる要因になっています。
山で、襲われ死傷するケースも後をたたない中、今年10月に群馬県東吾妻町の自宅近くの83歳の女性が、熊に襲われて大怪我を負いました。
この女性は、毎朝自宅の近くの川辺を散歩するのが日課で、その日も朝7時半ごろ、交通量の少ない川沿いの町道を30分ほど散歩していただけでした。
自宅近くを散歩していただけなのに、突然、右斜め前から黒い巨体が覆いかぶさって、その女性の顔をひっかいたのだそうです。女性の眼鏡は吹き飛んで、顔の右半分の皮がはがれ落ちて出血する大怪我を負ってしまいました。
幸い、クマはそれ以上攻撃せずに逃げ去りましたが、突然襲われるというのは、すごくトラウマになると思います。(引用元: yahoo.co.jp)
アーバンベアの殺処分に賛否
引用元: president.jp
反対
「動物を殺すなんてかわいそう」
という動物保護の立場からの意見にも、一理あると思います。
でも、そもそも人間の歴史は、他の動物の命を犠牲にすることで成り立ってきたと考えると
一体どこで線引きすれば良いんだろう
ということになりますよね。
クマは、環境省のレッドリストに載っている「絶滅寸前」の希少動物だという事実もあります。
日本自然保護協会、出島誠一(引用元: yomiuri.co.jp)
明治時代に捕獲、殺処分の末、ニホンオオカミは絶滅しました。
「動物を殺すのはかわいそう」
というそもそもの理由に加えて、生態系的な立場から、
ツキノワグマやヒグマは、人間にとって危険だからといって、ニホンオオカミのように絶滅させてはいけない
というのも、殺処分に反対派の意見です。
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賛成
人が襲われてるんだから殺処分するしか、仕方がない
と思っているのは、公共機関の人たちやその他の人たちですね。
たとえば群馬県内だけで、今年10月末までに、クマによる人身被害が4件も発生していて、安中市は県に
熊の捕獲上限頭数の撤廃などを求める要望書
県に提出したのだそうです。
群馬県の現在の捕獲上限頭数は年242頭で
(引用元: 「ツキノワグマ適正管理計画」(2022~27年度))
なんと、推定生息個体数の12%にあたるのだそうです。
ということは、群馬県の森には、2000頭ものクマが生息しているのですね!
そっちの方が驚きです!
とにかく、もっとたくさんのクマを駆除しないと、人間の生活が脅かされると考える人たちがたくさんいるということですね。
アーバンベア駆除に過剰クレーム!
引用元: tokyo-np-co.jp / 北海道釧路総合振興局提供
人に危害を加えたクマや、人里に現れたクマのほとんどは殺処分になります。
今年は被害が増えていて、必然的に駆除も増えているのが実態です。
その熊の駆除に対応した市役所や、町役場に大量の苦情が寄せらて、業務に支障が出るケースが出ているのだそうです。
そのクレームには
などがあり、電話に出て、市の職員が説明しようとしても、説明すら聞いてもらえないケースがほとんどだそうです。
引用元: tokyo-np.co.jp / 北海道庁の担当者
北海道では、熊の駆除を委託されて、実際にそのクマを撃ったハンターが特定されて、個人攻撃を受けたケースまで出てきて、次の問題を生んでいるそうです。
というのも、ただでさえ、クマなどを駆除するハンターの希望者はあまり無く、高齢化が進んでいて、後継者不足なのだそうです。
北海道庁は、ハンターへのクレームに危機感を募らせていて
「問題あるクマを必要に迫られて捕獲している。むやみに殺すわけではない」
「ヒグマ対策の根幹を担う捕獲の担い手確保に重大な支障を及ぼしかねない」
と、ホームページで訴えています。
秋田県美郷町でも、子グマ2頭と母グマ1頭殺処分された後、電話やメールでのクレームが700件以上殺到しました。
この町は人口2万人の小さな町で、役場の職員も少人数なため、担当者は対応に追われ一時仕事にならなかったそうです。
苦情はその町の町民ではなく、町の住人以外の人からで、町人にしてみれば、
「農作物への被害が収益に影響するほどではないが、とにかく怖い。鈴で音を出すなど作業をする際は例年以上に警戒している」(引用元: tokyo-np.co.jp / JAあきた北の職員)
と、その町に住んでいたら、怖くてたまらない気持ちが、伝わってきますね。
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190年前に殺処分でクマを全滅させたドイツ
引用元: merkur.de
さて、ドイツでは約190年前に最後のクマが殺処分され、それ以来、クマは事実上絶滅しました。
ドイツでは約190年前に最後のクマが殺処分され、それ以来、クマは事実上絶滅しました。
といっても、時々アルプスをこえて近隣諸国からクマが出没します。
2006年に、ドイツのバイエルン州南部、オーストリアとの国境付近に、クマが民家付近に出没して、ハチミツの養蜂所をなぎ倒したり、家畜の羊やうさぎを襲うなどの被害を及ぼしました。
そのクマに人々は、ブルーノと名付けました。
その際、そのクマのブルーノがバイエルン地方に出没した3日後に殺処分の指示を出したのが、当時のCSU党の党首でバイエルン州の州知事だったシュトイバーさんでした。
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イタリア裁判所が人を襲った熊の殺処分を禁止した理由
引用元: merkur.de / 捕獲されたクマのガイア
でも、今年イタリアの裁判所は、人間を襲って死に追いやった熊の殺処分を禁止する判決を下しました。その理由はなぜでしょうか。
2023年4月に、2006年に撃ち殺された熊のブルーノの妹である、クマのガイアが、北イタリアでジョギング中の男性を襲って、その男性は亡くなってしまいました。
北イタリアは、バイエルン州から120キロメートルくらいしか離れていません。
そのため、ドイツのバイエルン州の人々は、クマのガイアがドイツに出没するのではと、恐れていました。
しばらくして、
クマのガイアは、捕獲されましたが、
なんと、殺処分の許可はおりませんでした!
イタリアの最高裁判所が確保されて以来、檻に閉じ込められていたクマのガイアを、殺処分することを禁止する判決を言い渡したからです。
最近は、ヨーロッパでは、動物保護団体の声が大きく取り上げられるようになってきていて、イタリアでは、その世論を受けて、殺処分が禁止されたわけです。
判決理由としては
イタリアでジョギング中の男性を襲ったのが本当にクマのガイアだったのかどうかが疑わしい
とも説明されていました。
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おわりに
感情的になって、クレームを入れて、公共機関の仕事に影響を与えるような行為は、どうかと思いますが、実際に、
「簡単にクマを殺すのって、どうなの?かわいそう」
という声が大きくなっていることは確かのようです。